古町芸妓さんとのご縁

森川真椰/にいがたユニバーサルまち歩き会員

筆者の振り袖姿/祗園花街での舞子体験

私は観光政策課で古町芸妓関係の仕事を担っているため、

古町花街の世界についてもっと勉強したいと思い、

2020年12月12日(土)の「古町花街の今を語るPart2」に手話通訳の方2名と一緒に参加しました。

そのプログラムは3部構成で、私のお目当ては2部と3部でした。

2部は江戸時代の新潟町などの講演、留袖のあおいさんのトークショーを、

手話通訳の方2名を通じて、たくさん聴くことができました。

最後の3部は、あおいさん、もう1人の振袖さんの踊りを観させていただきました。

あおいさんは藤色(薄水色のこと)、振袖さんはレモン色の着物を着て、

私たちを迎えてくださいました。

幸運なことに、とても近くで芸妓さんの踊りを観られる席で本当にドキドキしました。

芸妓さんたちが踊り始めた瞬間、

「わあー…」あまりの美しさに感嘆の声があふれる感じで、心が奪われました。

綺麗。

なめらかな踊りの中に上品さがあり、

その上、手などの細かい動き、そして細やかな表情が多く、

指先までのしなやかさまでが、さすがです。

そのやわらかな雰囲気に包まれるようにすっかり魅了されました。

ため息しかでてきません。

美しく癒されるかのように本当に素敵でした。

最後までうっとりと眺めながら、無意識に昔の記憶がよみがえりました。

実はー。

私は、10歳のころから6年間、学校では日本舞踏を習っていました。

毎年の文化祭には、日本舞踏の発表会が行われました。

発表会まで毎週月曜日の夕方、2時間の踊りの練習をしました。練習時は原則として、浴衣着用です。

50~60歳くらいの日本舞踏の先生は熱心で厳しい方で、

踊りでミスをしたときは、先生の扇子で私の頭などが叩かれました。パシッ!

ふくらはぎの後ろが痛くなり、何度も泣きました。

近くにいた、10歳から18歳までの耳の聞こえない生徒たちが一列に正座して並びながら、

黙ってその様子を見ていました。

暑い夏は、汗びっしょり、寒い冬は、体がガチガチでした。

手話を使わない先生に早口で叱られ、何と言われたのか分かりませんでした。イライラしました。

そんな練習中、もう耐えられないと何度か感じました。途中、逃げて帰ったときもあります。

音のない世界にいる私。曲の音も聞こえません。

本番日までリズム感やテンポを体で覚えて練習しなければなりませんでした

でも、本番日の舞台に立つ前、先生のアシスタントが着物を着る手伝いをしてくださり、

先生には、自らの手で芸妓風メイクを丁寧にしていただきました。

曲の音が流れ、始まったとき、舞台の右のカーテンに隠れている先生の「スタート」サインが出ました。

舞台で踊り始めたときは、多くの観客を前に、緊張のあまり、足が震えました。

けれど、曲の音の終わりにピッタリと合って踊りを終えることができたのです。

多くの観客からの拍手の音を身体で感じました。達成感に満たされた思いでした。

いろいろと、なつかしいです。

古町芸妓のみなさんは一人前になるまで、古くから伝わるしきたりやお稽古の厳しさにも直面しながら、

いろいろと乗り越えてきたでしょう。

トークショー時、あおいさんは一流になるまで

お稽古中、お姐さんに何度か厳しく指摘されて、心が折れたときもあったことを語りました。

私も同じ経験があります。共感できました。

日本舞踊のほかにも、私は5歳のころから書道を始め、

今は、毎月2回土曜日、新潟市から小千谷市の書道教室へ通っています。

憧れの、字の美しい先生を目標にし、書道の先生になる夢を実現するため書道師範を取得するよう、練習に励んでおります。

【写真1】好きな本の書き写し(縦書きの練習)(注1)
【写真2】書道教室に使う競書の硬筆部(注2)
【写真3】小筆で書く練習(注3)

でも、2~3時間、正座すると、足のしびれでうまく立てません。

芸妓さんは1日に数時間の正座に耐えながら、笛、三味線などを毎日、お稽古をしているのでしょう。

本当にすごいなぁと思います。

もうひとつ、私は2018年5月、歴史建築物巡りのため、1人で2泊3日の京都への旅に出かけました。

時間があって、祇園花街での舞妓体験にチャレンジしてみました。ドキドキワクワク!

支度を整え、鏡の中の舞妓に変身した私を覗き見た瞬間、言葉もありませんでした。本当に恥ずかしくて真っ赤な顔になってしまいました。

それでも、それは夢のような時間でした。

ただ、重さ1.5kgのかつらをかぶって頭が少しくらくらして、

平衡感覚があまりよくない私は、まっすぐに歩けませんでした。ふらふらペンギン歩きでした。

私1人では外を散策するのはとても不安でした。

そこで舞妓体験スタジオの着付スタッフにお願いしてみたところ、快諾してくださいました。そして私の片腕を手引きしながら一緒に散策してくださいました。助かりました。

私のスマートフォンカメラで二十数枚くらい撮影していただきました。

次の日、重いかつらのせいか、首の後ろに筋肉痛が残りました。

京都での舞妓体験/筆者

古町芸妓のみなさんは重いかつらと衣裳を身に着けて、

少し膝を曲げ、姿勢を低くした状態でずっと踊り続けるのです。

体幹が強くないとあれほど美しく舞っていられないでしょう。

このような日々の積み重ねの稽古が自分を磨き、

緊張の連続のお座敷での経験を積んで、一人前としての自信と美しさにつながっていくのだと思います。

そういう古町芸妓のみなさんの精神力、努力は凄いと思います。頭が下がります。

見習いたいです。書道の高みを目指すため、もっと長時間の正座ができるようになれたら、と思います。

最後になりますが、今回のあおいさん、振袖さんの踊りを観られたおかげで、

さまざまなことを思い巡らすことができました。

日本舞踏、舞妓体験が、この一点に結ばれた気がします。

古町芸妓のみなさんは私には身近な存在で、ご縁があると感じます。

貴重な経験になりました。大変素敵な時間を過ごせました。

ありがとうございました。

注1 好きな作家の小川糸さんのエッセイ本「今日の空の色」のp.34「とびっきりの一日」。

注2 書道教室で使う硬筆の競書誌(公財)日本書道教育学会不二誌硬筆部の規定課題。

注3 書道家の富谷栄三郎著の「美しい小筆入門」のp.44「美しい行書の書き方」の手本。

文章を書いたのは、

森川真椰

Morikawa Maya

広報担当

新潟の魅力を宣伝しまくりたい踊れるNUW会員

第34回国民文化祭、第19回全国障害者芸術・文化祭(2019)では、新潟大好き・障がい者によるまち歩きのスタッフとして裏方を務めた。新潟市職員。

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